Research Abstract |
研究代表者の松原は,以前の研究により,教科「情報」の情報モラル教育を支援するインタラクティブ型ディジタル教材の開発を行った。この結果,具体的な題材を提示し情報モラルに直接に関係する教材は利用しやすく分りやすいという長所があるが,個別の事例から普遍的な認識に至るには,情報に関する本質的な理解が不可欠であるとの結論を得た。この課題を解決するには,情報安全について情報学の立場から検討し,あらたな枠組みを提示する必要がある。そこで,松原は,中央教育審議会・専門委員を務めたので,情報の専門部会で「情報のモラルと安全」に関わる本質的な理解の重要性を強調するとともに,新たな情報教育の枠組みを提案し,教科「情報」の学習指導要領の改訂に寄与してきた。本研究では,上記の経緯を踏まえ,新学習指導要領に対応した教科「情報」のカリキュラム開発とその学習支援環境の構築を目的とする。 本年度は,一昨年度及び昨年度に引き続き,人文社会系の情報学に重点を置くとともに,自然科学系の情報学にも視野を広げ,「文理融合の情報学教育」という観点で学習内容を分析・整理し,新科目「社会と情報」において利用可能な「情報学の内容構成」を具体化するとともに,各種のテーマをベースとする学習支援環境の構築・充実を行った。具体的には,「情報学の内容構成」としては,各学習項目を,情報学1(1-01~1-10の10項目),情報学2(2-01~2-10の10項目),及び,情報学3(3-01~3-10の10項目)として分類整理して公開し,その要点を分かりやすくするため,それぞれについてスライド形式で表現し,関係のWebサイト上に掲載した。また,学習支援環境の構築に際しては,「相互評価」,「合意形成」,「問題解決」,「分析視点」等の各テーマをベースとする「協働学習支援システム」をそれぞれ作成し,協働学習支援環境(CLSE)として統合し,関係のWebサイト上に展開した。
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