2009 Fiscal Year Annual Research Report
多肢選択式テストによる認知スキルの修得状態の診断に関する研究
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21500923
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
椎名 久美子 The National Center for University Entrance Examinations, 研究開発部, 准教授 (20280539)
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Keywords | 認知科学 / 問題解決過 / 教育工学 |
Research Abstract |
本研究は,情報把握力,論理的思考力,分析力などの高次の能力を測ろうとする多肢選択式テストに関して,要求される認知スキルの構造を同定して,各受験者の解答データから認知スキルの修得状態に関する診断情報を引き出そうとするものである.今年度は,情報把握力,論理的思考力,読解力などを測定する目的で試作された教科・科目フリー型の多肢選択式テストのうち,平面上の方向把握を扱った問題を題材に,課題遂行や問題解決に必要とされる能力・資質に関する因子と問題解決方略との関係を分析して,認知スキルを同定するための手がかりとした. 問題冊子の余白に解答者が残したメモ描きを手がかりに解答方略を推定して分類すると共に,様々な課題の遂行に必要な47の能力・資質の習得度に関する自己評価データから,因子分析によって7つの因子を抽出した.そして,解答に用いた方略によって,課題遂行や問題解決に必要とされる能力・資質に関する因子得点に違いがあるかどうかを検討した.その結果,より複雑な条件を吟味する必要のある設問では,「数理的素養・図の取り扱い」因子と,組合せを列挙したリストを作成して消去法による吟味を行う解答方略を使用するかどうか,との間に強い関連が認められた.「読解力・表現力」「創造力・多元的判断・論理的思考」「対人的親和性・献身性」「自然・社会・人間への関心」「情報処理・機器操作」の因子は,線分や矢印の図を描いて吟味する方略を使用するかどうか,との間に関連が認められた.以上の検討結果を,日本図学会2009年度秋季大会において口頭発表した.
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Research Products
(1 results)