2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500934
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 好章 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70293272)
|
Keywords | 授業分析 / 授業研究 / 分析手法 / 中間記述言語 / システム開発 / 初等中等教育 |
Research Abstract |
本研究では、授業分析において、分析者が授業逐語記録を読む際に、何をどのように意味付けているかを確定するために、授業分析に特化した<制限された言語>として、中間記述言語を開発している。最終年度は、以下の点に取り組んだ。 まず、前年度に引き続き、研究協力校において授業の観察・記録を継続した。分析においては、子どもの思考、教師の意図、教材の特性等の授業を構成する諸要因の関連を構造的に明らかにした。 次に、複数の授業分析への適用を評価し、中間記述言語の表記法を改良した。同一授業に対する複数の分析者による結果を比較し、発言に対する解釈の根拠の違いを、中間記述言語における表記における各部の重み付けの相違として示しうることを明らかにした。 中間記述言語を処理するためのアルゴリズムとソフトウェアを改良し、発言の論理構造を分析できるようにした。分析者が有する教材、学習内容に関わる専門的知識も組み合わせることによって、再利用可能な知識ベースとして、授業記録を活用する方法を明らかにした。 これらによって、主として授業記録を読むことによって行われてきた授業分析に対して、解釈過程を明示し、授業を構造的にとらえるための有効なツールを提供できる可能性が示された。 ただし、中間記述言語を使用した授業分析は、分析者の熟練と一定の作業量を要するため、教師や学生などが授業研究を行なう場合に、簡便に適用できるものではない。しかし、本研究の成果によって、学習者相互による集団的な思考の進化の過程をモデル化することができ、中間記述言語の方法を用いなくても授業分析研究を実施する際に参考となる分析視点を提供することができた。これらをもとに、教員研修や、国内学会および国際学会でのワークショップを通じて、逐語記録にもとづく授業分析の普及を図った。
|