Research Abstract |
平成20年度までに,初等力学の分野を対象として,1人の学習者が能動的にVR型の実験環境を操作し,実際に力を感じながら実験と学習が行えるプロトタイプシステムを開発している.本研究課題は,協調学習とグループ学習の概念を導入し,複数人の学習者が同時にVR型の実験環境を共有し,互いに協力しながら操作をし,学習を進めることが可能なシステムの枠組みの設計を行うことが目標であるが,平成21年度は,ひとつのオブジェクトを同時に2人の学習者が操作する題材を想定し,具体的に「てこ」の題材に焦点をあて,遠隔地にある反力提示装置(反力デバイス)2台の同時操作が可能となるプロトタイプシステムの設計を行った.対象教材として「てこ」を用いた初等力学の題材を選択し,2人で「てこ」に対して様々な力をかけることができる環境の構築を行ったその環境を用いて,学習者らは力のつり合いの分野に対して,体験を通した,仮説の設定,実験による検証,法則性の発見などを通じて,知識を習得することが部分的ではあるが,可能となった.具体的には,力のつり合いの公式について,学習者らは操作と状態変化の因果関係を理解し,振る舞いと因果関係に内在する規則を学習する環境のプロトタイプシステムが完成し動作確認を終えている.本プロトタイプシステム上で,2人の学習者は,各々仮想実験室(学習環境構築モジュール,VR環境制御部,反力デバイス制御部の3つのモジュールから成る)を持ち,それぞれ自由に操作できるようになった.今後は,プロトタイプシステムの評価を行う予定である.
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