Research Abstract |
初等段階でのメディア教育では,メディアの記号次元とリテラシーの教養次元に特化する能力をメディアリテラシー育成の基本と位置づけ,初等教育用カリキュラム・パッケージを開発・実践・普及させることを目的に,平成22年度は以下の課題に取り組んだ。 メディア教育が目指すメディアリテラシーを,3領域(A=受け手,B=使い手,C=作り手)・6能力(理解力,洞察力,探索力,発信力,構成力,創作力)・12視点(論理・直観,推論・視点,収集・選択,モード・複合,技法・立案,分析・創造)で構成した。効率的にリテラシーを育成するため,低・中・高学年別に36パッケージを開発した。パッケージは,番組分析一覧,メディアリテラシー能力育成一覧学習ノート,作品事例,評価・指導事例,授業実践事例で構成した。低学年用12パッケージは10パッケージが終了(対象校・児童は6校8学級,延べ164人)。中学年用12パッケージは9パッケージが終了(対象校・児童は7校10学級,延べ288人)。高学年用12パッケージは10パッケージが終了(対象校・児童8校17学級,延べ529人)。 評価に関しては,複数の研究者・実践者・大学院生が参加して基準値に即して3段階で評価した。また,カリキュラム体系が国語科の能力育成をベースに置いていることから,国語科の学習指導要録に記載されている観点別評価を数値化して相関を調査した。その結果,どの学年においても「受け手」「使い手」領域の能力目標の到達度と国語科の能力とは極めて高い相関があるのに対して,「作り手」領域に関してはほとんど相関が見られなかった。そこで平成22年度後期において,「作り手」領域の補助パッケージも開発した。
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