Research Abstract |
総務省の平成17年度試算では,今日,我が国ではICT技術者が約50万人不足していると報告されている。さらに中国やインドなどのICT技術者のレベルは,質・量で日本を凌ぐと言われ,我が国の技術者は空洞化をもし始めている。そこで本研究は,ロボカップサッカーの競技部門の一つであるMixed Realityシミュレーションリーグ(MRリーグ)の大会用マイクロロボットを用いた次世代のICT人材教育を提案し,それに必要な教材開発と体験授業の実施・評価を行い,授業を通して,協働作業の大切さとコミュケーション力の向上をねらい,学校間の垣根を越えた協調学習の実現,そして情報科学の啓蒙と小・中・高等情報教育の寄与を目指した.その結果,本年は次のような成果を得た. 1.ロボットの基本動作(直線運動と曲線運動)のモジュール開発を行い,限られた授業時間内で,簡易言語によるロボット動作の生成を可能とした.そして,私立の高等学校2年生英語クラスの約40名の生徒に対し,『活躍するロボットと,「手順的な自動処理」(プログラミングの理解)』と題し,2限連続の実践授業を実施した.グループ学習では,ロボットの動作生成プログラミングとその実行を学習させ,文系クラスにおける情報科学教育の一つの方向性を示すことができた. 2.ロボカップサッカーにおけるコンピュータ知能によるマイクロロボットチーム対子供たちが操作するマイクロロボットチームとのサッカーゲームを通して,楽しみながら協働作業の大切さを学ばせることを試みた.そこで,サッカーゲームのシミュレーターの導入と,子供たちが簡単にロボットの操作ができるように市販のゲームパッドのキーにロボットコントロールを割り当てたインターフェースの開発を行った.今後,このシステムを科学イベントなどで活用し,学習者の学校間の垣根を越えたコミュニケーション力の向上に取り組む.
|