2011 Fiscal Year Annual Research Report
木造建造物の保存修復における伝統技法の類型と革新的技術の考案に関する研究
Project/Area Number |
21500986
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
上野 勝久 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 教授 (20176613)
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Keywords | 文化財 / 木造建造物 / 保存 / 修理・修復 / 伝統技法 / 革新的技術 |
Research Abstract |
我が国の文化財建造物の保存修理は、世界的に最高度の水準の技術や技法が用いられており、これまでに概括的な先行研究や個別研究に成果があがっている。本研究では、とくに阪神淡路大震災以降の動向や現況に鑑み、保存修理における実態からその種類と用法、有効性や耐久性及び信頼性に関する具体的な分析を行い、改めて総合的に把握することを目的とした。当初計画の3カ年で、①当初部材の保存と再用の技法・技術、②木造の構造補強と耐震性能向上の技法・技術などに着目して、収集した多様な事例を類型化することができた。研究の後半、2年目の終わりに東日本大震災が発生したが、ある意味で東北地方の文化財建造物の実態調査と検証を追加することにより、文化財価値の持続という視点からの総合的な評価を行うこともできた。本研究では、東日本大震災における文化財建造物の実態調査と検証が結果として実物大実験に近いかたちとなった。 本研究を総括した報告書では、概ね木造建造物における構造補強の実像をまとめることができた。ここでは古代から近代に至るまでの軸部の構造補強、小屋組の強化、接合部位の補強など、見込み以上の成果が得られ、しかも各時代の災害とそれに対処した創意や工夫など、今後、より詳細に追究すべき課題も見えた。また、近年の文化財建造物の補強方法などについては、現在の多様な技法や技術が大規模地震に有効性をもつことも確認できた。得られた成果は震災復旧を行った文化財建造物で実践することができたが、これは革新的技術の考案に繋がる大きな成果と思っている。 本研究の成果としては、東日本大震災における文化財建造物の被害状況について学会で報告した。中世建築を主題とした学術論文やシンポジウム記録を発表したが、そこでは建築様式と構造形式の相互関係にも言及した。また神社建築関係の調査研究にも、本研究の成果の一部を反映させている。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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