2010 Fiscal Year Annual Research Report
文化財の被災履歴データベースによる脆弱性評価と保存計画策定への活用に関する研究
Project/Area Number |
21500992
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Research Institution | Independent Administrative Institution National Institutes for Cultural Heritage Tokyo National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
二神 葉子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 主任研究員 (10321556)
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Keywords | 文化財・文化遺産 / 防災 / GIS / データベース / 保子計画 |
Research Abstract |
1.海外の文化財データベースに関する事例調査 昨年度に引き続き、イタリアでの事例に関して聞き取り調査(2010年10月26日~29日、ローマ)および文献調査を実施した。保存修復高等研究所のカルロ・カカーチェ氏によれば、2009年4月に発生したラクイラでの地震の際には、「文化財危険地図」が被災した文化財のレスキューおよび被災状況の記録に活用された。文化財危険地図には損傷の激しい文化財建造物の内部に収蔵されていた作品の数や保管場所、保存状態なども詳細に示されていたため、災害時に有効であったといえる。たとえば、文化財危険地図を使い、瓦礫の下にあると予想される作品を把握しながら、災害全般のレスキューに携わる防衛隊(Protezione Civile)など、文化財の専門家に限らない様々な職業の人が瓦礫の下の文化財の取り上げに携わっている。建物の損傷の評価については、他の地震の際にも用いられた共通のフォーマットによる詳細なチェックシートも用いられ、建物の使用目的や損傷の程度が専門家により記載されていた。この調査により、被災後のレスキュー活動に対する文化財危険地図の有効性について、具体的な活用事例が得られた。 2.データベースの被災予測への活用 2011年3月11日に発生した地震の際には、広域にわたり大規模な被害が発生したことから、文化財の被害状況の把握が困難であったため、国宝・重要文化財、博物館・美術館のGISデータベースと、50mメッシュ標高データや各地の震度情報との重ね合わせを行った。これにより、関係者からの情報が届く前の津波等で被災した可能性のある文化財や収蔵施設の抽出が可能となった。
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Research Products
(3 results)