Research Abstract |
1. 後期高齢者一人当たり医療費が全国で最も低い(2008,2009年度)新潟県において,二次医療圏別死亡率にどのような地域差が見られるのかを,1985~2000年まで5年毎に,全死因と三大死因のSMRの95%信頼区間を算出して検討した。悪性新生物(男性)は1985~2000年まで小出,六日町,佐渡(いずれも2000年までの二次医療圏名)において,「新潟県平均以下」であること,さらに,1985~2000年までSMRが同じ傾向を示すのは,脳血管疾患(男性,女性)の,新潟(2000年までの二次医療圏名)「新潟県平均以下」と,上越「新潟県平均以上」であることを確認した。 2. 日本で1898年以降,最も高温な夏となった2010年夏季の死亡率の地域差にどのような特徴があるのか,気候が死亡にどの程度関連するのかについて分析を行った。2001~2010年までの日本の月平均気温平年差(気象庁)と,同月または翌月の月別死亡率(全国,1日当り,人口10万対,60歳以上)との間に,有意な相関関係(有意水準5%)が見られた月は,4月のみである。また,2010年夏季死亡率と2009年夏季死亡率を都道府県別に比較すると,2010年夏季に,2009年夏季よりも死亡率(1日当り,人口10万対,60歳以上)が,特に上昇した県は,群馬県,三重県,青森県,宮城県,長崎県,奈良県,愛知県,島根県である。逆に,2009年夏季に比べて2010年夏季の死亡率の上昇が顕著ではない県は,宮崎県,鹿児島県,熊本県,鳥取県である。
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