Research Abstract |
姶良カルデラ北縁にある国分平野において,変動基準である旧海水準,旧汀線の把握を行うために,3本の機器ボーリングを行った.ボーリング地点は,これまで報告された地点を考慮して,(1)国分平野南東の敷根地区,(2)国分平野西部の鹿児島神宮付近,(3)国分平野内陸の日当山である.(1)は台地崖下にあり,段丘化した扇状地性の地形であるが,現在より高い高度に海成層があるか不明のところである.ここでは,地表から15m掘削した.上部10mは礫混じりの粗砂,下部は巨礫を含む礫堆積物である.上位の粗粒砂は,貝殻は見いだせなかった.砂層の珪藻分析を行い,海成堆積物の存否を確認する予定である. (2)の地点は,隆起三角州の面にあり,標高約15mである.国分平野ではもっとも隆起が大きい場所とみられるところである.近くの台地崖斜面に縄文早期の貝塚があり,この地点には海進頂期の海成堆積物が見いだされることを予想し,厚さ20mの掘削を行った.全体として,上部はシルト質砂層からなり,イオウが析出していることから,海成層であろう.指標テフラとなる鬼界-アカホヤ火山灰はこのボーリングでは見いだせなかった.これまでの周辺での地表調査から,表層にアカホヤ火山灰は堆積していることから,人工的に除去されたと考えられ,この地点は標高10m以上の高さに海水準があると判断される.(3)の地点は,現在の河床面と同じ高さにある.厚さ30mの掘削を行った.全体として礫質であるが,地表下8mから10mのところは,粗砂が優勢となる.地表下11m付近に砂層が黄色化し,イオウが析出していることから海成堆積物と判断される.貝殻は見いだせないが,珪藻分析より古環境を確定したい. 今回の結果は,これまでの低地地形や既存の報告と調和し,国分平野では東方から西方にかけて隆起量が増加するような傾動を行っていることの貴重な資料を得ることができた.
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