2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21501005
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大内 俊二 Chuo University, 理工学部, 教授 (00185191)
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Keywords | 地形実験 / 降雨侵食 / 隆起 / 動的平衡 / 地形進化 / 定常状態 |
Research Abstract |
現在の実験場がキャンパス内の新棟建設に伴って使用不可となることが判明したが、代替場所の決定が2010年1月までずれ込み、実験装置の制作・設置が年度末になってしまった。そのため、従来の実験施設を用いてできるところまでの実験を行った。隆起速度を0.22mm/hから徐々に増加させ、158hに3.2mm/hの最大に達した後、238hまで少しずつ減少させ、その後710hまで0.22mm/hの隆起を与えた。隆起を止めてから1222hまで降雨侵食を続けた。平均高度は隆起とともに増加したが、隆起速度が低下に転じると、隆起が続いていたにもかかわらず、平均高度の増加は減少に転じた。 隆起速度が0.22mm/h一定となると、ゆっくりと直線的に低下した後、582hから710hまではごくわずかしか低下しなかった。隆起停止後の平均高度は、きれいな指数関数的低下を見せた。これまでの実験では、始めから最後まで0.22mm/hの一定隆起を与えた場合も、30hまで0.5mm/h、その後710hまで0.22mm/hの隆起を与えた場合も、0.22mm/hの隆起が長時間続くと、平均高度が50mmくらいの値で安定する傾向を見せており、この実験条件においては、長時間0.22mm/h隆起と40mm/hの降雨が続けば、隆起と侵食が平衡となり、実験侵食地形が平均高度50mmくらいでのところで定常状態をとると言える。隆起が少しずつ加速して行くと、低速時に流系が発達できるため、隆起速度が大きくなった時も侵食による低下がより大きく出るようであった。隆起の減速が平均高度の低下をもたらしたことは、隆起速度に合わせて増加してきた起伏すなわち侵食速度が隆起速度の減少に対応できなかったことを示している。起伏増加が谷の開析と尾根の隆起によって比較的単純に進むのに比べて、起伏の低下が崩壊、堆積などを含むより複雑な現象であることを反映している。
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