2010 Fiscal Year Annual Research Report
海岸域の隆起運動とそのメカニズムに関する変動地形学的研究
Project/Area Number |
21501006
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
渡辺 満久 東洋大学, 社会学部, 教授 (30222409)
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Keywords | 海成段丘 / Toya火山灰 / SK火山灰 / 活断層 / 離水ベンチ / 北海道積丹半島 / 島根県 |
Research Abstract |
北海道積丹半島と島根県松江市周辺の海岸地域を調査地域とし,MIS 5e前後に形成された海成段丘面の分布を明らかにした。それらの高度.形状や、離水ベンチの分布などをもとに,海岸部の隆起運動が活断層運動によってもたらされたことを検討した.海成段丘面の編年は,積丹半島では112~115kaに噴出・堆積したToya火山灰を、島根県松江市周辺海岸地域では、130kaに噴出・堆積したDMPと110kaに噴出・堆積したSKなどを用いて行った. 積丹半島西岸部では,MIS 5eに形成された海成段丘面が連続的に分布している.当初、その旧汀線高度は,南東部の泊付近では30m未満,北西部の神恵内村周辺では60m以上となると予想した。しかし、崖錐堆積層の厚さが予想より厚く、泊り付近では20m、神恵内付近では30~35mに修正した。離水ベンチは、ほぼ連続的に分布している。地質的に硬い岩石の分布域においては、高度は高く、分布は広い。これらの状況は、積丹半島西岸では地震性隆起が卓越することを示唆している。これらの結果は、本年度の地震学会において公表する予定である。 島根県松江市周辺の海岸域においては、三瓶火山起源のテフラの分析と、海成段丘面の分布と離水ベンチの高度を明らかにしてきた。三瓶起源のテフラとしては、約110kaのSKにつづき、SUn・SI・SI'などのテフラを確認した。また、広域火山灰として、Ata火山灰や大山起源のDMPの同定を行った。その結果、本地域に分布する海成段丘面のうち、MIS 5eに形成されたものの汀線高度は約35mであること、MIS7の海成段丘面の汀線高度はこれより10数m程度高いことが判明した。離水ベンチ高度は、十六島地域において最も高く、右ずれ変位を主体とする鹿島断層の延長がかなり長く、海岸部の地殻変動に大きな影響を与えていることが明らかになってきた。これらの研究成果は、本年度以降の地震学会・活断層学会にて公表してゆく予定である。
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