2011 Fiscal Year Annual Research Report
季節海氷域の氷厚グローバルマッピングおよび数値海氷モデルへの応用
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21510002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
豊田 威信 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (80312411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江淵 直人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10203655)
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Keywords | 海氷 / 季節海氷域 / 氷厚分布 / リモートセンシング / 合成開口レーダー / 氷盤の大きさ分布 / 数値海氷モデル / 極域気候監視 |
Research Abstract |
今年度は最終年度であるため合成開口レーダーを用いた氷厚分布推定の可能性を踏まえて数値海氷モデルへの応用を目的として、(1)現場データの更なる取得と解析、(2)数値海氷モデルで用いられている海氷力学過程の検証、(3)論文の執筆などに取り組んだ。(1)に関しては、オホーツク海南部の海氷域で巡視船「そうや」を用いてPALSARと同期観測を行い、昨年度に導出したPALSARから氷厚を求める回帰式の妥当性を検討した。その結果、観測された氷厚分布は比較的良く再現されていることが確認された。また、L-band SARの有用性を確かめるために同海域でPALSARとほぼ同じ時刻に観測したRADARSAT (C-band)の画像を購入して両者の比較を行った。その結果、C-bandは小規模の凹凸を検出するため海氷域の抽出には適しているものの、海氷域内でのコントラストはL-bandよりも小さく、従って氷厚分布を抽出するのにはL-bandの方が適すると考えられることが分かった。(2)に関しては、オホーツク海を対象に2010年冬期間AMSR画像データから求めた日々の海氷密接度分布、海氷漂流速度分布を基に海氷運動の力学過程と氷厚分布の変化とを対応させた。海氷の熱力学的な成長はERA-interimデータセットを用いて計算を行った。その結果、氷厚分布の変化は速度の収束場の影響が非常に大きく、海氷内部応力のレオロジーは従来Hiblerによって提唱されたプラスチックな連続体というよりも個々の氷盤の振る舞いの取り扱いの重要性が示唆された。このため(3)で氷盤の強度の季節変化を融解初期に着目して室内実験とモデルから調べた結果を論文にまとめた。以上、PALSARデータの制約もあって氷厚マッピングの領域は限られたものの、数値海氷モデルのレオロジーの検証など当初の計画が有意義に達成されたと思われる。
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Research Products
(11 results)