2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境中に放出された環境負荷物質の連続濃縮と同時モニタリング
Project/Area Number |
21510003
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
北爪 英一 Iwate University, 人文社会科学部, 教授 (00186248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 陽之助 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (90048520)
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Keywords | 高速向流クロマトグラフ / 環境負荷物質 / 濃縮 / モニタリング |
Research Abstract |
河川水などの環境水中に放出されたプラスチック可塑剤や界面活性剤、また食品中の残留農薬などの濃縮やモニタリングを目的として、高速向流クロマトグラフ(HSCCC)を試作、研究した。今年度は現有の回転機構に取り付けが可能な回転カラムを設計、試作した。回転部は筒ころ軸受を使用して高速回転時における耐久性の向上を目指した。種々の回転数において、固定相とその保持率、溶離液と流速の最適化について検討した。また細いチューブ中の固定相と移動相の流体の動力学的な平衡状態について考察するため、有機溶媒や気体を固定相としたときの二相の挙動を詳細に観察し、データを蓄積した。カラムについては内径1.6mmおよび5mmのテフロンチューブを利用して製作した。次にHSCCCの応用例として食品中の農薬分析のための前処理について検討した。試料として夾雑物が多い生姜抽出エキスを用い、塩水-アセトニトリル-ヘキサン系でHSCCCによる精製を検討した。通常4-5時間を要する操作(アセトニトリル抽出の後、溶媒分配、脱水、濃縮、固相カラム精製)を10-15分に短縮することを目標に実験を進めた結果、首尾よく15分以内で濃縮することができた。またカラム内における微生物の効果的な固定のため,界面濃縮に関する基礎実験を行った。カラム内の二相の内の一方に気体(空気)を用いた二相系を利用し、水との界面の挙動を装置内に取り付けた小型CCDカメラを用いて詳しく観察した。その結果、特定の回転数において特異的に界面を保持したり排出することのできる条件があることが分かった。さらに、この界面で微小粒子を効果的に固定することも可能であることが分かった。この結果により、カラム内の界面では単純な粒子の固定だけでなく、環境水中の重金属のコロイド状微粒子なども濃縮できることが分かり、浄化装置としてもHSCCCが利用できる見通しが得られた。
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