2011 Fiscal Year Annual Research Report
極微量トリチウム分析法の開発と海水のトリチウムーヘリウム3年代測定への応用
Project/Area Number |
21510008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高畑 直人 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (90345059)
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Keywords | 化学海洋 / 年代測定 / 海洋環境 / 希ガス / 同位体 / 分析技術 |
Research Abstract |
本研究では海水中の極微量のトリチウムを精度良く分析できるシステムを開発することを目的とする。トリチウムの測定にはヘリウム-3イングロウ法を用いる。これはトリチウムが放射壊変してできる娘核種のヘリウム-3を測定することで間接的にトリチウム濃度を分析する方法である。昨年3月からの度重なる地震により分析装置や試料が被害を受けたのと、夏季の節電により分析装置を停止せざるをえなかったので当初の計画通りには進まなかったが、分析法の確立という目的は達成できた。今年度実施した研究は以下の通りである。 1.東京大学大気海洋研究所運用の海洋調査船である白鳳丸や淡青丸などを用いて、東北沖太平洋で数回にわけてヘリウム同位体およびトリチウム分析用に海水試料の採取を行なった。また北太平洋の広い範囲でも表層から深層までの海水を採取した。 2.液体シンチレーションカウンターを使った従来法で分析したトリチウム濃度既知の試料水を標準試料として、ヘリウム-3イングロウ法による分析値の妥当性を検討した。その結果従来法による分析値と矛盾しない結果が得られ、地震により保管期間が短くなる制限があったものの検出感度や精度は従来法と同等かそれ以上であった。 3.南インド洋で採取した海水のヘリウム同位体分析の結果から、最近まで表層にあったと思われる中層水を選んで、ろ過・蒸留した後にトリチウム濃度分析用に密閉容器に入れ脱ガスしてから保管した。また東北沖太平洋で採取した表層海水のトリチウム濃度をヘリウム-3イングロウ法で分析したところ、海洋の表面水として妥当な結果が得られた。
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Research Products
(2 results)