2009 Fiscal Year Annual Research Report
複数の放射性核種の三次元分布からみた日本海の物質循環に関する研究
Project/Area Number |
21510011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井上 睦夫 Kanazawa University, 環日本海域環境研究センター, 助教 (60283090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 政儀 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (10121295)
濱島 靖典 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (60172970)
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Keywords | 化学海洋 / 放射性核種 / ガンマ線計測 / 日本海 / 物質循環 |
Research Abstract |
平成21年度には、水産総合研究センター中央水産研究所の日本海調査航海(7-8月)に参加し、日本海東部(日本海盆海域)およびオホーツク海域における表層海水、および深層海水を採取した。さらに、水産総合研究センター西海水産研究所にサンプリング協力を依頼、東シナ海表層海水を入手した。代表的試料については、採取地点(船上)で大型濾過器を使用し、海水濾過をおこなった。これら海水試料から、BaSO_4、Fe(OH)_3およびリンモリブデン酸アンモニウムによる共沈回収により、ラジウム同位体、^<137>Cs、^7Be、^<228>Thの同時回収をおこなった。粒子は濾過に使用したフィルターを灰化、ガンマ線測定用試料とする。処理済海水試料に対し、地下測定室を利用した、低バックグラウンドガンマ線計測を適用し、目的核種の定量をおこなった。 その結果、^<226>Ra、^<228>Ra濃度(^<228>Ra/^<226>Ra比)に加え、^<137>Cs、^7Beおよび^<228>Th濃度の組み合わせにより、これら海域の水塊および粒子の三次元的物質循環の解明を試みた。現在のところ、以下の情報が得られている。 ・日本海盆における^<226>Ra、^<228>Ra濃度の鉛直分布より、日本海固有水の滞留時間として、~100年という値が見積もられた。 ・^<228>Ra、^<228>Th濃度より、東シナ海から日本海、およびオホーツク海にいたる、表層海水水塊および粒子の挙動を明らかにした。 特に時間軸(滞留時間)の設定は、放射性核種以外の手法では得がたい知見である。今後、他核種も含めた総括的な議論をおこなう。
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