2011 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ年輪の酸素同位体比を用いた過去100年間の海洋淡水化傾向の抽出
Project/Area Number |
21510013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 理 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00293720)
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Keywords | サンゴ年輪 / 酸素同位体比 / 海洋淡水化傾向 / 海洋環境復元 |
Research Abstract |
本年度実施した内容は以下の通りである。 1.熱帯~亜熱帯太平洋域のサンゴ年輪データの解析 NOAA/NCDCのウェブサイトよりこれまで論文として公表されたサンゴ年輪の酸素同位体比分析結果及び水温データ、南西諸島域における研究結果を組み合わせ、西部太平洋域については、亜熱帯~熱帯にわたり、海水淡水化傾向はみられず、熱帯太平洋域については、東部ほど淡水化傾向が顕著になる、傾向が得られた。一般に、エルニーニョ期には熱帯中部~東部太平洋域は降水量増大に伴い塩分が低下し、西部太平洋の亜熱帯~熱帯域では降水量低下により塩分は一定かまたは増加する特徴が見られる。本研究で得られた傾向は、長期的にエルニーニョ様の気候状態へと変化しつつあることを示唆していると言える。 2.新たな水温復元指標の開発 過去100年間に関しては、NOAAや気象庁によるグリッド化された水温再解析データが利用可能なものの、海域によっては、特に1950年代以前について非常に少ない観測結果に基づいている場合がある。本研究は水温及び海水の酸素同位体比の二成分によって決定されるサンゴ年輪骨格の酸素同位体比を、水温データを当てはめることで古塩分(海水酸素同位体比)計として利用しているため、水温データのばらつき及びずれは塩分の不確実性に増幅されて伝搬する。そこで、本手法の将来展開を目指して、サンゴ骨格の二重置換同位体比(clumped isotope)による新たな水温指標を開発した。現場水温観測が充実している与那国島サンゴ試料を用いて、二重置換同位体比を測定したところ、水温との高い相関を得ることができた。 3.成果公表(論文)について 今年度は3編の論文発表と1報の国際学会発表を行った。
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Research Products
(4 results)