2010 Fiscal Year Annual Research Report
水環境を改善する高機能植生帯を創出するための沈水植物の化学生態学的特性の評価
Project/Area Number |
21510015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 智司 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80313295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶋 渉 広島大学, 環境安全センター, 教授 (20243602)
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Keywords | アレロパシー / 植生帯 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
シアノバクテリアが優占する条件であっても、実際の密度にて植生するホザキノサモから放出される8種のアレロケミカルによって優占を抑止できることを実証した。なお、増殖抑制効果の評価においては、温度の影響も考慮した。 シアノバクテリア(Microcystis aeruginosa)、競合緑藻類(Scenedesmus obliquus)をGorham 5倍希釈培地にて、25℃または30℃で混合培養した。培養期間中、これまでに報告されたホザキノフサモの放出速度に基づき、実際ありうる植生レベル150、300 g-dry/m^3から放出される量に相当する8種のアレロケミカルを培地へ添加した。 150、300 g-dry/m^3に相当するアレロケミカルによってM.aeruginosaの比増殖速度は低下した。増殖抑制効果は温度によって異なり、150、300 g-dry/m^3に相当するアレロケミカルを加えた場合、比増殖速度は30℃で対照系の83%、76%、25℃では65%、53%となった。これより、M.aeruginosaのアレロケミカルに対する感受性は温度により変化することが認められた。 M.aeruginosaとS.obliquusとの混合培養を行った結果、アレロケミカルを添加しない対照系においては、M.aeruginosaの増殖が突出しており、S.obliquusの最大増殖量はその1/10程度であった。これに対し、ホザキノフサモ300 g-dry/m^3相当のアレロケミカルを加えると、M.aeruginosaの最大増殖量はS.obliquusを下回った。この結果から、M.aeruginosaが優占する条件であってもホザキノフサモ300 g-dry/m^3のアレロパシーを利用することでその優占を抑止できることが確認できた。
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