2011 Fiscal Year Annual Research Report
水環境を改善する高機能植生帯を創出するための沈水植物の化学生態学的特性の評価
Project/Area Number |
21510015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 智司 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80313295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶋 渉 広島大学, 環境安全センター, 教授 (20243602)
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Keywords | アレロパシー / 植生帯 / シアノバクテリア |
Research Abstract |
本研究では、シアノバクテリアの増殖を抑制し、優占種としないようにするため、沈水植物のアレロパシー効果を利用する。今年度は、藻類種構成の変遷効果を確認するため、まず、実際にアオコが発生する池沼(広島県東広島市七ツ池)より池水を採取し・その池水にホザキノフサモ植生帯740 g-dry/m^3に相当するアレロカミカル(ピロガロール、没食子酸、(+)カテキン、オイゲニン、エラグ酸、ノナン酸、オクタデセン酸)を加えて培養し、藻類種構成の変遷を評価した。この際、シアノバクテリアと緑藻類の細胞数は、10^4cells/mlとした。その結果、アレロカミカルを加えない場合は、シアノバクテリアが優占としたが、アレロケミカルを加えると緑藻の細胞数がシアノバクデリアの細胞数を上回った。これより、実際の池沼において当該植生帯を創出することにより、種構成を変遷させられることを確認した。次に、光や栄養塩、動物プランクトンによる捕食圧も作用する条件下において、実際に植生帯を創出した際の改善効果を評価するため、ホザキノフサモ370 g-dry/m^3、ll10g一dry/m3を植栽した水槽をアオコが発生する池沼(埼玉県川越市伊佐沼)に設置し、水槽内の藻類をモニタリングした。その結果、ホザキノフサモを植栽した水槽のクロロフィルaは植栽しない水槽以下となり、藻類の増殖抑制作用を確認した。また、目視ではあるが、アオコ状態となることは認められなかった。但し、実験は秋~冬にかけてしか行えておらず、春~夏においても同様の効果が得られるか否かを確認する必要がある。
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