2009 Fiscal Year Annual Research Report
水温の広域シミュレーションモデルを用いたハマダラカの生息域評価
Project/Area Number |
21510022
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
太田 俊二 Waseda University, 人間科学学術院, 准教授 (10288045)
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Keywords | 環境変動 / 環境モデル / 環境情報 / 地球温暖化 / 生態系影響評価 / 健康影響評価 / 次世代環境影響評価 |
Research Abstract |
研究計画の初年度の当初目標は、平衡水温モデルの精緻化、ハマダラカの生息域データベースの構築や関連文献の収集であり、二年目以降に生息域モデルの構築というスケジュールであった。その意味で、初年度の実績としては、当初目標を大きく上回り、二年目の目標であるモデル構築まで到達することができた。一般気象要素を利用した熱収支モデル、水収支モデルの出力を、ハマダラカの生活史の基本的な部分のみを記述したモデルに組み込んだところ、モンスーンアジア地域においては、空間的にも時間的にもその生息域が良好に再現可能になった。この成果については、2009年秋から冬にかけて開催された、個体群生態学会、日本生気象学会、日本生態学会において発表し、都度モデルの修正等を施してきた。また、このモデルの概略及びその出力結果については国際学術誌に投稿し、2010年2月に受理された。 一方で、前倒し的に研究は進行しているものの、大きく三つの問題点が残っている。一つ目は、組み込んだ簡易的な水収支モデルをより亜熱帯や暖温帯域の現実に即したものに変更する必要がある。とくに土壌中の水分の飽和の表現を変更するとさらに精度が上がることが予想される。二つ目はハマダラカの観測サイトの具体的な気象要素が入手できていない点である。気候値は地域的な差が大きいので、再解析データ以外の気候値を入手する必要があるだろう。三つ目は、ハマダラカの成長モデルに確率的な要素が十分に含まれていない点である。将来予測される気候下でどのような変化が生じるかを知るためにはこの点は重要である。これらの問題点を克服することで、さらにこの生息域評価モデルの精度は上がり、将来気候下でのマラリアのリスク評価に活用することが可能になると考えられる。
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Research Products
(7 results)