2010 Fiscal Year Annual Research Report
水温の広域シミュレーションモデルを用いたハマダラカの生息域評価
Project/Area Number |
21510022
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
太田 俊二 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (10288045)
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Keywords | 環境変動 / 環境モデル / 環境情報 / 地球温暖化 / 生態系影響評価 / 健康影響評価 / 次世代環境影響評価 |
Research Abstract |
昨年度までの平衡水温モデルの精緻化、ハマダラカの生息域データベースの構築に引き続き、研究計画期間3年のうち2年目の本年度の目標は生息域モデルの構築であった。昨年度末に受理された国際誌への投稿論文の内容をさらに踏み込み、個体群動態モデルと水・熱収支モデルの有機的な結合を目指してきた。新開発のモデルは、昨年度までの世代交代モデルよりも、相対的な個体数の増減が再現可能なモデルに発展し、空間的にも時間的にも生息予測の精度は向上した。とくに、モンスーンアジア域のなかでも亜熱帯から温帯域においては非常に高い再現性を示している。昨年度の反省点であった土壌水分量の飽和の表現を改良したり、ハマダラカの成長過程に確率的な要素を組み込み、さらに現実に近づいてきたと言える。開発されたモデルの妥当性を検証するために、モンスーンアジア域においてハマダラカの個体数推移の実測データとモデルの予測値とを比較をすると、一年間で個体数が最大になった日(ピーク日)における実測と予測のRMSEは18.62日であった。これは実測値の測定間隔(2週間~2ヶ月)を考慮すると妥当な範囲にあると言える。また、RMSE値は昨年度のモデルに比べて約10日分好転した。さらに年々変動に関しても、ピーク日の日付の年変動のトレンドを実測値とモデルの予測値の間で比較した結果、極めてよい一致を示した。しかしながら、熱帯域での検証は長期間の観測値が不足していたために十分な検証を行うことができなかった。以上の結果については、2010年秋から冬に開催された、個体群生態学会、日本生気象学会、日本生態学会、International Symposium on Agiricultural Meteorologyにおいて発表し、都度開発モデルに修正を加えてきている。現在関連する投稿論文を2本準備中であり、関連論文は2011年度中に発表予定である。
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