2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際河川に於ける流域国の係争を回避する手段としての「越境環境影響評価」
Project/Area Number |
21510028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 幹康 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10217945)
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Keywords | 国際河川 / 環境影響評価 / 環境管理 / 国際機関 / エスポー条約 |
Research Abstract |
「越境環境影響評価」に関わる国際機関および援助機関に関する文献調査と聞き取り調査を継続的に実施した.2010年4月に国際司法裁判所が,ウルグアイがウルグアイ川沿岸に建設した製紙工場に起因する汚染に関して,ウルグアイとアルゼンチンの間での係争に対して下した判決に着目して,国際流域での環境影響評価の実施を規定する流域国間協定の有用性と,常置機関および臨時に設置される機関が果たし得る機能について考察を行った.また,ウルグアイでの制度的および組織的な枠組みと,メコン川流域でのメコン川委員会に於けるそれらを比較分析することにより,メコン川委員会が有する,流域国間の調停機能の限界と,その改善策について,環境影響評価の実施と流域国への通告機能の観点から検討を加えた.カスピ海,メコン川,ダニューブ川,豆満江(Tumen River)における,「越境環境影響評価」の整備状況を,法制度的および組織的側面から評価するために,これらの流域における「越境環境影響評価」も枠組み策定に関与してきた研究者と実務者による国際シンポジウムを日本(東京)で開催し,有用な情報の蓄積を図ると共に法制度的および組織的側面での改善事項を抽出した.国際シンポジウムでの発表と討議の内容については,国際的な学術誌の特別号として纏めて公刊することを計画している.また,これまでの分析から学術論文として取り纏めた研究成果が,学術誌に掲載された.
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Research Products
(1 results)