2010 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリア群集の変動解析による富山湾の海水汚染モニタリング手法
Project/Area Number |
21510030
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中村 省吾 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (60134996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 大祐 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (40360804)
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Keywords | 海洋環境保全 / バイオモニタリング / 海洋汚染 / PCR-DGGE / バクテリア / 16S-rRNA / 日本海 / 富山湾 |
Research Abstract |
環境水中の汚染物質を総合的に捉える方法として,生物が持つ様々な活性を指標としたバイオモニタリングやバイオアッセイが注目されている。また,ある地域の環境変化を捉えるためには,そこに生息する生物種とその密度などを日常的に把握しておくことが必要であると考えられている。そこで我々は,富山湾の環境変化や海水汚染をモニタリングするために,PCR-DGGE法を用いて,富山湾の表層海水中,深層水中,海底堆積物中に加えて,富山県下五大河川水中に生息するバクテリアの群集構造とその通年の遷移を調べている。 まず,本年度も,年間を通して沿岸域及び沖合1-5kmの表層海水中のバクテリア群集の変動をDGGEの泳動パターンで調べた結果,月毎の変動はあるものの,同じ月であれば試料間での変化は少なく,どの表層海水中でも互いに似た群集構造をとっている月が多かった。しかし,神通川河口沖合のように,河川水の流入が多く汽水域となっている海水試料では,他と比較して異なる群集構造を示す場合が多かった。一方,五大河川水中のバクテリア群集構造は,各河川に特徴的であることが明確に示された。そして,前述の神通川河口沖合の海水中と神通川河川水中で共通するバクテリア種も検出されたことから,河川の影響の大きさが推定された。滑川,入善,能登の300m以深の各深層水中の群集構造を調べた結果,採水位置は大きく異なるもののほぼ同じ水深にある日本海固有水であることからか,非常によく似た構造であった。今後は,DGGEで得られた各バンド(DNA)の塩基配列からバクテリア種を同定し,群集構造をより具体的なものにしていく予定である。
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