2009 Fiscal Year Annual Research Report
下水汚泥および産業廃棄物由来のコンポストに含まれるPPCPsの実態調査と影響評価
Project/Area Number |
21510036
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
篠原 亮太 Prefectural University of Kumamoto, 環境共生学部, 教授 (40316188)
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Keywords | 医薬品 / 下水汚泥 / 再生肥料 / コンポスト / 水環境 |
Research Abstract |
近年、大量に消費される医薬品による環境汚染に対する懸念が高まっている。そこで本研究では、下水汚泥や畜産廃棄物から製造される再生肥料(コンポスト)の中に含まれる医薬品の挙動や生物への影響を把握することを目的として、コンポストを対象とした医薬品残留濃度の分析および発酵に伴う医薬品残留量の変化を明らかにするための発酵分解試験を行った。市販されているコンポスト(35試料)中に含まれる10種類の医薬品(抗生物質4種、合成抗菌剤5種、抗てんかん薬1種)を測定した結果、下水汚泥由来の全ての試料からジプロフロキサシンが検出された(1.6-151ng/g)。畜産廃棄物由来のコンポストからも残留医薬品は検出され、豚糞を原料とする試料の一部からはテトラサイクリンやクロルテトラサイクリン、スルファモノメトキシンが他の試料よりも高濃度で検出された(最高濃度:15.1ng/g, 282ng/g, 212ng/g)。コンポスト中の医薬品濃度に著しい試料間の差が見られたた原因として、各コンポストの腐熟度が関与しているのではないかと考えられた。そこで各コンポスト試料の発酵の進行レベルを腐熟度によって評価するとともに、回転式発酵機を用いてコンポスト試料を発酵させ、その進行に伴う医薬品残存量を測定した。その結果腐熟度が低くコンポストの発酵が進んでいない試料は比較的医薬品残留量が高く、逆に腐熟度が高い試料は残留医薬品濃度が比較的低いという傾向が得られた。また、シプロフロキサシンやレボフロキサシンなど一部の医薬品は発酵機を用いた発酵によってコンポスト中の濃度が減少することが明らかになった。これらの実験結果は、コンポストが散布された農地周辺における医薬品の汚染を示唆するとともに、その製造過程においてコンポストを十分に発酵行うことによって、医薬品による環境汚染を軽減することができるということを示している。
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Research Products
(5 results)