2010 Fiscal Year Annual Research Report
下水汚泥および産業廃棄物由来のコンポストに含まれるPPCPsの実態調査と影響評価
Project/Area Number |
21510036
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
篠原 亮太 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (40316188)
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Keywords | 残留医薬品 / コンポスト / 分解 / 植物 / 下水汚泥 |
Research Abstract |
水環境への放出が懸念されている医薬品類(PPCPs)について、コンポスト中残留濃度の実態調査、植物への暴露試験および発酵処理による分解試験を行った。日本全国より下水汚泥、し尿汚泥、鶏糞、牛糞および馬糞を主原料として製造された再生肥料を全国より収集分析し、それらの中に含まれる医薬品の種類と量を明らかにした。特に抗てんかん薬の1種であり、環境中における高い残留性が報告されているCarbamazepineはコンポストからの検出率が70%と対象物質中最も高い値を示した。コンポスト中からの検出率が高かった5種類の医薬品類を対象として、エンドウ(Pisum sativum)への72時間曝露試験を行った。その結果、CyclophosphamidおよびTrimethoprimは豆苗の根に蓄積する傾向が見られた一方で、Carbamazepineについてはエンドウのシュート部における高い蓄積が確認された。この曝露試験においてみられた植物による医薬品吸収程度の違いは、植物内皮細胞に存在する障壁を通過する能力によるものであると考えられる。すなわち、医薬品を高濃度に含むコンポストの土壌への散布は、溶出による水環境中への流出だけではなく、作物体への移行も招く可能性がある。そこで、コンポスト中医薬品濃度を減少させるための試みとしてコンポスト試料を更に発酵させる分解試験を行った。この試験において、Carbamasepineを除く多くの医薬品類が10日程度の追加発酵によってその濃度が20%以下まで減少することが明らかとなった。つまり、コンポストを製造する際に試料に対して十分な発酵を施すことが、水環境や農地における医薬品類汚染を防ぐという点においても非常に重要であるということを発見した。
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Research Products
(9 results)