Research Abstract |
本年度は,研究計画の最終年度として,研究の成果を論文と口頭発表の形で公表した。 まず,水俣病事件から導かれる教訓として,訴訟による紛争解決と,訴訟外での和解による紛争解決の相違,とりわけそれぞれの長所と短所に関して比較分析を行った。この問題系を,福島原発事故の損害賠償の問題の先例と位置つけたうえで,英語の論文として公表した(論文1)。 英語の論文の基礎となった研究成果は,二回の国際学会において口頭で発表し,質疑応答を通じて考察を深め,その成果を論文の中に反映させた(学会発表1,4)。 環境倫理,環境法政策をめぐる哲学的,方法論的基礎理論に関しては,国内学会,国際学会でそれぞれ発表を行った(学会発表6,5)。このほか,本研究をつうじて得られた哲学的考察の成果として,国家理性の問題をめぐって国際学会において招待講演を行った(学会発表3) 本研究計画の途上で,東日本大震災が発生し,かつ研究活動自体を被災地のただなかで遂行しなければならなかったために,本年度の研究成果は少なからず東日本大震災との関連でまとめることとなった。すなわち,本研究における実証分析の成果を踏まえて,東日本大震災の問題状況に関して,日本語の論文を公表した(論文3)。同様に,日本法システムをめぐる本研究における特徴づけを基礎に,海外における国際シンポジウムの関心と合わせる形で,東日本大震災における日本の法政策の特質と問題点について,英語にて招待講演を行った(学会発表2)。 さいごに,本研究が課題の一つとしていた公害訴訟資料の整理に関して,新潟弁護士会所属,坂東克彦弁護士の所蔵する資料の整理につき,文献資料の整理をおおむね終えることができた。整理済みの資料は,新潟県立新潟水俣病資料館に順次おさめられており,現在,資料館が資料の電子化を進めているところである。
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