2011 Fiscal Year Annual Research Report
ESD推進に向けた地域の拠点(RCE)の活用とESDの学力向上への効果の評価
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21510044
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 克徳 金沢大学, 環境保全センター, 教授 (30467120)
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Keywords | 持続可能な開発のための教育 / ESDに関する地域拠点 / ユネスコスクール / ESDと学力 / 学力評価 |
Research Abstract |
1.RCE推進の駆動力の解明 「持続可能な開発のための教育(ESD)」推進に際し、国連大学が世界的に推進する「ESDに関する地域の拠点(RCE)」が中核的な役割を果たしている。RCE推進の駆動力に関し、世界で初めてRCEに認定された「RCE仙台広域圏」、「RCE岡山」のケーススタディを踏まえ、以下の諸点を明らかにした。 ・どちらのRCEの場合も、RCEの認定に先立って、一定のESD活動が行われている。また、RCE認定後、数年をかけて段階的にESDが進展していくプロセスがみられる。 ・2008年の学習指導要領改訂とユネスコスクールの活用提案は、RCE活動に大きな影響を及ぼした。特にRCE仙台の気仙沼地域では、以後ユネスコスクールの推進がRCE活動の中心になった。 ・RCEは、新たなイニシアチブとしてではなく、既存のイニシアチブを再評価し、強化するプロセスとして機能したためにESD推進に向けた大きな駆動力となった。 2.ESDが学力に及ぼす影響の検討 国立教育政策研究所や個別の学校、教育委員会等における様々な研究を分析した結果、ESDが学力向上にプラスの影響を及ぼすことが明らかにされた。具体的には、多くの事例の分析により、ESD導入による以下の効果が確認された。 ・教師及び教師集団の変容 ・子供たちの変容:自ら学ぶ力の向上 ・保護者及び地域の人々とのつながりの強化 また、(1)自然への畏敬と感謝の心、(2)地域や外国の社会とのつながりの認識、(3)郷土愛と異文化に対する理解、(4)コミュニケーション能力の向上、(5)問題解決に向けた行動力などが、ESDを通じて育成される主な力として挙げられた。 他方、ユネスコスクール申請書のレビュー結果から、多くの学校では、ESD及びESDと学力の関係の評価手法については未だ手探り状態であることが判明した。学力と関連させたESDの総合的な評価手法の早急な確立が求められる。
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