2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷とは無関係に遺伝的不安定性を誘発する機構と細胞がん化における役割
Project/Area Number |
21510054
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
布柴 達男 International Christian University, 教養学部, 教授 (10270802)
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Keywords | 非変異原性発がん物質 / Aneuploidy / 染色体不均等分配 / phenyl hydroquinone / morphogenesis checkpoint / 細胞周期 / 細胞がん化 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
ヒトのがん抑制遺伝子の不活性化には二つのアレルの不活性化が必要であり、ヘテロ接合生喪失(loss of heterozygosity;LOH)などのいわゆる遺伝的不安定化の段階が必要になる。すでにLOHの誘発には、DNA損傷が引き金になり相同性組み換えなどを介した経路、DNA損傷とは無関係に染色体の分配異常などを介して引き起こす経路の2つの経路を発見し、o-phenylphenolの代謝物phenyl hydroquinone(PHQ)、benzene代謝物hydroquinone(HQ)、acrylamide、butylhydroxy anisol、dimethyl formamideなどが後者の経路によりLOHを誘発することを示している。その機構を明らかにするため、すでにPHQについて、細胞周期への影響やその機構、染色体分配異常やLOHの誘発性との関与について報告した。21年度はPHQと同じく染色体分配異常に起因してLOHを誘発するHQについて検討を加え、PHQ同様、HQもβ-チューブリンとの相互作用を示し、それに伴い重合チューブリンの解離を阻害すること、Hogl-Swel pathwayの活性化によるmorphogenesis checkpointにより細胞周期G2/M期で停止すること、そしてそのHogl-Swel pathwayの活性化がHQによる染色体異数化やLOHの誘発に寄与することを見いだした。今後は引き続き、acrylamide、butylhydroxy anisol、dimethyl formamideについても同様の検討を加え、Hogl-Swel pathwayの活性化と細胞周期G2/M期での停止と染色体異数化やLOHの誘発との関係を明らかにしたい。
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Research Products
(4 results)