2011 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン受容体の標的遺伝子サイレンシング解除にCREMが関与する機構の研究
Project/Area Number |
21510065
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菊池 英明 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (60006111)
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Keywords | ダイオキシン / Ahレセプター / CREM / PP2A / ヒストンデアセチラーゼ / Sp1 |
Research Abstract |
遺伝子CYP1A1の発現は、外来異物であるTCDDやベンゾ[a]ピレンがダイオキシン受容体(AhR)に結合することにより、AhRが核内へ移行し、ARNTと二量体を形成、XRE配列への結合により起こる。これまで、CYP1A1プロモーター領域に、Sp1、CREMという因子が転写の状態にかかわらず常に結合していることを明らかにしてきた。さらに、転写が抑制されているときには、ヒストン脱アセチル化酵素1(HDAC1)が結合し、活性化されるとヒストンアセチル基転移酵素活性を持つCBPが結合するという結果を得た。また、Re-ChIPアッセイ法を行い、転写が起きていないときには、Sp1とHDAC1の結合が観察され、転写が開始されるとこの結合が外れることが示された。しかし、Sp1は転写が開始される前後で同じようにクロマチンに結合しており、転写調節に関与する機構が不明であった。 そこで、Sp1のリン酸化状態が転写開始の前後で変化している可能性を検討した。Sp1のSer-59は脱リン酸化されることで、標的遺伝子の転写が充進することが知られており、この部分のリン酸化がTCDDなどの転写誘導物質で、どのように変化するかリン酸化部位特異的抗体で検討した。その結果、TCDD処理ではリン酸化レベルが対照に比べ約20%に減少していることが明らかとなった。さらに、PP2A特異的阻害効果を持つオカダ酸(50nM)を用いてSp1のSer-59のリン酸化状態を調べると、TCDD処理した細胞においては対照に比べて減少は大幅に抑えられていた。以上の結果より、TCDD処理により活性化されたPP2AがSp1のSer-59の脱リン酸化を引き起こし、CYP1A1の転写が活性化される機構が考えられた。
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Research Products
(8 results)