2009 Fiscal Year Annual Research Report
第二相解毒酵素群の発現を誘導するNrf2-Maf転写因子複合体の三次元構造解析
Project/Area Number |
21510066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒河 博文 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 講師 (80359546)
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Keywords | タンパク質 / 結晶構造解析 / 毒性化学物質 / 酸化ストレス / Keap1 |
Research Abstract |
Nrf2転写因子はMaf転写因子と二量体を形成し,毒性化学物質や酸化ストレス(環境ストレス)に応答して第二相解毒酵素群の発現誘導を統一的に制御する.その結果,毒性化学物質は速やかに消去される,Nrf2,Mafは塩基性ロイシンジッパー(bZip)転写調節因子である.結合DNA配列であるAREはTGACNNNGCという配列を有し,これは他のbZip転写因子が認識する配列とは外側にGC配列を有している点が明らかに異なる。また、Nrf2は単独では二量体を形成せず,DNA結合能も示さない.Mafはホモ二量体としてDNA結合能を有する一方で,Nrf2とヘテロ二量体も形成する。このヘテロ二量体形成が転写活性化に必須である。申請者らはMafホモ二量体とDNA(ARE配列と類似したMARE配列)との複合体の結晶構造を明らかとし、Nrf2-Mafが結合するARE配列中のGC配列をMaf転写因子がユニークな方法で認識していることを明らかとした。また、毒性化学物質の感知に関わり、Nrf2抑制因子であるKeap1全長構造の電子線単粒子解析に成功した。これにより、Keap1によるNrf2抑制制御の分子機構が明らかとなった。さらに、肝臓癌などで異常蓄積するp62タンパク質がKeap1-DCドメインと結合することでNrf2を活性化し、癌細胞の増殖に有利な環境を作り出していることを明らかとした。つまり、生体防御に関わるKeap1-Nrf2系が癌細胞によりハイジャックされ、Nrf2が常に活性化されてしまうと癌細胞を守ってしまうという驚くべき事実が明らかとなった。
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[Journal Article] Keap1 is a forked-stem dimer structure with two large spheres enclosing the intervening, double glycine repeat, and C-terminal domains.2010
Author(s)
Ogura, T., Tong, K.I., Mio, K., Maruyama, Y., Kurokawa, H., Sato, C., Yamamoto, M.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A 107
Pages: 2842-2847
Peer Reviewed
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[Journal Article] Structural basis of alternative DNA recognition by Maf transcription factors2009
Author(s)
Kurokawa, H., Motohashi, H., Sueno, S., Kimura, M., Takagawa, H., Kanno, Y., Yamamoto, M., Tanaka, T
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Journal Title
Molecular and Cellular Biology 29
Pages: 6232-6244
Peer Reviewed
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