2011 Fiscal Year Annual Research Report
第二相解毒酵素群の発現を誘導するNrf2-Maf転写因子複合体の三次元構造解析
Project/Area Number |
21510066
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒河 博文 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80359546)
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Keywords | タンパク質 / 結晶構造解析 / 毒性化学物質 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
Nrf2転写因子はMaf転写因子と二量体を形成し,毒性化学物質や酸化ストレス(環境ストレス)に応答して第二相解毒酵素群の発現誘導を統一的に制御する.その結果,毒性化学物質は速やかに消去される.Nrf2,Mafは塩基性ロイシンジッパー(bZip)転写調節因子である.結合DNA配列であるAREはTGACNNNGCという配列を有し,これは他のbZip転写因子が認識する配列とは外側にGC配列を有している点が明らかに異なる。また、Nrf2は単独では二量体を形成せず,DNA結合能も示さない.Mafはホモ二量体としてDNA結合能を有する一方で,Nrf2とヘテロ二量体も形成する。このヘテロ二量体形成が転写活性化に必須である。申請者らはMafホモ二量体とDNA(ARE配列と類似したMARE配列)との複合体の結晶構造を明らかとし、Nrf2-Mafが結合するARE配列中のGC配列をMaf転写因子がユニークな方法で認識していることを明らかとした。 本年度は研究の進展により、Nrf2の活性制御に極めて重要なKeap1とNrf2との新規複合体結晶を得ることに成功した。1.3A分解能のX線回折データを取得して、構造決定にも成功した。得られた構造と生化学的な実験から、ヒト癌症例でみられるNrf2の点変異がどのようにしてNrf2を恒常的な活性化に導くのか、その構造的な基盤の解明に成功した。
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