2010 Fiscal Year Annual Research Report
二つの電荷分離方式を取り入れた新しい可視光応答光触媒の開発
Project/Area Number |
21510082
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 隆一 富山大学, 大学院・理工学研究部, 准教授 (80019223)
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Keywords | 光触媒 / 可視光 / 二層膜 / スパッタ / 電荷分離 |
Research Abstract |
対向ターゲット式スパッタ装置を用いて、ArとO_2の高純度混合ガス雰囲気中でFeターゲットを反応スパッタすることでガラス基板上に500nm程度の厚みをもつF_2O_3膜を形成した。Fe_2O_3形成膜はアモルファスに近い状態を示したので、結晶性を改善する目的で、アニール処理(酸素雰囲気中、400℃、2時間)を行った。その結果、Fe_2O_3膜はアニールにより結晶性が著しく改善され、α-Fe_2O_3の結晶構造を示すことが明らかにされた。 次に、Tiターゲットを反応スパッタすることでモザイク状厚さ50nmのアナターゼの結晶構造を示すTio_2層を上記α-Fe_2O_3下地層の表面に形成させ、二層膜を作製した。TiO_2/α-Fe_2O_3二層膜の透過率の吸収端は下地αFe_2O_3層が担持されたため、可視光の長波長側ヘシフトし、可視光応答が改善された。TiO_2/α-Fe_2O_3膜の露出表面積比と可視光照射時のメタノールの分解量の関係を調べた結果、面積比TiO_2:α-Fe_2O_3=75%:25%の二層膜が、分解効率が-番良いことが分かった。このことにより、下地のα-Fe_2O_3膜が太陽光中の可視光を有効に吸収しており、これによってTiO2単層膜の光活性が改善されている。また、α-Fe_2O_3膜の表面が、ある程度(~25%)露出し、空気に触れた方が分解特性は向上する。これは膜表面における電子-正孔の再結合が減少するためであると考えている。 本研発では、α-Fe_2O_3単層膜のみでは光活性は観測されなかったが、α-Fe_2O_3膜表面に短時間スパッタ法(1分以下)でPtの輝微粒子を担持させたPt-α-Fe_2O_3膜では、メタノールの分解量が約20倍増大することが分かった。 これらの結果をもとに、α-Fe_2O_3膜表面の露出部分のみに短時間スパッタ法(1分以下)で唐の超微粒子を担持させたTiO_2/Pt-α-Fe_2O_3二層膜の新しい可視光応答光触媒セルでは、TiO_2/Pt-α-Fe_2O_3二層膜および、Pt-α-Fe_2O_3膜の場合よりもメタノールの分解量は最も多くなることが明らかにされた。
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