2011 Fiscal Year Annual Research Report
二つの電荷分離方式を取り入れた新しい可視光応答光触媒の開発
Project/Area Number |
21510082
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高橋 隆一 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (80019223)
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Keywords | 光触媒 / 可視光 / 二層膜 / スパッタ / 電荷分離 |
Research Abstract |
対向ターゲット式スパッタ装置を用いて、70%Ar-30%O_2高純度混合ガス中で純度99.9%Feターゲットを反応スパッタすることでFe_2O_3膜をガラス基板上に形成した。形成膜は酸素雰囲気中でのアニール処理によりα-Fe_2O_3の結晶構造を示した。前年の結果から、α-Fe_2O_3膜表面の露出部分のみに短時間スパッタ法でPtの極薄膜を担持させたTiO_2/Pt-α-Fe_2O_3二層膜の新しい可視光応答光触媒セルでは、メタノール分解量は格段に増大しており、今年度はα-Fe_2O_3膜の最適な形成条件を見いだすために、α-Fe_2O_3層の膜厚を200~500nm、Pt超微粒子のスパッタ時間を10~60秒、等を変化させながら上記の新しい可視光応答光触媒セルを鯉作した。また、成膜後、醸素雰囲気中で20~400℃、1~3時間のアニール処理を行い、結晶性、表面構造の変化を調べた。TiO_2/α-Fe_2O_3膜の面積比はTiO_2:α-Fe_2O_3=75%:25%、TiO_2膜厚は50nm一定とした。α-Fe_O_3膜厚が200nmから400nmまで厚くなると、メタノールの分解量(光活性)が比例して増大し、それ以上の500nmではほぼ飽和した。Pt超微粒子のスパッタ時間を10秒から20秒まで長くすると光活性が急激に増大するが30秒以上では逆に急激に減少した。また、アニール温度、時間はともに高くて、長い方が、光活性が一番良好であった。α-Fe_2O_3薄膜の最適な形成条件は膜厚:400nm、Pt超薄膜(2nm膜厚)のスパッタ時間:20秒、アニール温度:400℃、アニール時間:3時間であることが明らかにされた。α-Fe_2O_3膜の場合、WO_3膜よりは、メタノールの分解速度に関する光活性はやや劣るが、これは分解過程で中間生成物が異なるため、分解メカニズムに違いがあり、Pt極薄膜の還元作用が時間の経過とともに弱くなると考えている。
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