2011 Fiscal Year Annual Research Report
リン蓄積細菌の好気的亜硝酸脱窒に起因する亜酸化窒素の生成特性
Project/Area Number |
21510089
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 利晃 日本大学, 理工学部, 教授 (50277381)
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Keywords | ポリリン酸蓄積細菌 / 亜酸化窒素 / 排水処理 / 好気脱窒 |
Research Abstract |
排水の生物学的窒素処理工程から発生する亜酸化窒素の抑制方法を開発するため,ポリリン酸蓄積細菌の亜酸化窒素生成能について研究を進めてきた。昨年までは,硝酸を還元する能力を有しないRhodocyclus属のポリリン酸蓄積細菌について,亜酸化窒素転換率が50%以上あるとの結果が得られたことから,本年度は脱窒能力を有するRhodocyclus属のポリリン酸蓄積細菌およびActinobacteria属のポリリン酸蓄積細菌を培養し,その亜酸化窒素生成能を調べた。 Actinobacteria属のポリリン酸蓄積細菌は,そもそも亜硝酸を好気的に脱窒する能力を有しないため,亜酸化窒素の生成には寄与しないことが示された。一方,脱窒能力を有するRhodocyclus属については,酸素分圧10%,亜硝酸濃度0.9mgN/Lの系において,脱窒活性比2.5%,5%,10%のとき,それぞれ転換率20%,15%,10%が得られ,脱窒能力が大きいほど亜酸化窒素転換率が低下する傾向が示された。しかし,脱窒活性比を10%以上では転換率に変化は見られず,最低の転換率は10%ほどであった。これらのことから,排水処理過程においてポリリン酸蓄積細菌の寄与が無視できないことを示唆している。更に,亜酸化窒素転換率に及ぼす亜硝酸濃度の影響を調べたところ,脱窒活性比20%,酸素分圧5%の系において,半飽和定数0,9mgN/L,最大転換率30%の飽和曲線を描くことが示された。 以上の結果から,排水処理過程においてRhodocyclus属のポリリン酸蓄積細菌が亜酸化窒素生成に寄与している可能性が強く示唆された。今後は,実排水処理施設においてその寄与を検証する方法を確立し,本研究成果と照らし合わせることで,適切な制御方法の確立に寄与したいと考えている。
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