2011 Fiscal Year Annual Research Report
液体分離培養法による嫌気性酢酸代謝微生物共生系の多様性および機能の解明
Project/Area Number |
21510092
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
重松 亨 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (10315286)
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Keywords | 嫌気性微生物群集 / メタン発酵 / 難培養性微生物 / 分離培養法 / 酢酸代謝微生物共生系 |
Research Abstract |
平成22年度に96穴マイクロプレートを用いた嫌気性液体分離培養系が構築できたので、本年度は引き続き、酢酸を唯一の炭素源とする合成廃水を連続供給するメタン発酵槽内液を微生物源として酢酸分解嫌気性微生物群集の分離培養を行った。メタン発酵槽内の酢酸資化性微生物の濃度をMPN法により計測したところ、3.09x10^4±1.25x10^4[MPN/ml]であった。この培養液を、酢酸を炭素源とする合成培地(DSMZ334)で適宜希釈し、マイクロプレートにて分離培養を行った。微生物の増殖をメタン生成古細菌に特有の補酵素F_<420>の自家蛍光を指標として行ったが、低い検出感度と高いバックグラウンドの問題が生じ増殖の判定を行うことは困難と判断した。そこで、培養液を鋳型としてArchaeaの16S rRNA遺伝子のPCR増幅を行い、増幅の有無を指標に増殖を判定することにした。その結果、増殖が認められたマイクロプレートのwell数は、MPN法に基づく細胞濃度からポアソン分布により予測した数と概ね一致した。このことから、発酵槽内液の段階希釈により、酢酸資化性メタン生成古細菌あるいは微生物共生系がほぼ純粋に分離できる可能性が示された。マイクロプレート分離培養をもう一度実施したところ、再現性が認められた。 PCR増幅の感度をNested-PCR法により増加させ、増幅したArchaeaの16S rRNA遺伝子の塩基配列を解析した。解析ができた24 wellの培養液からのPCR産物の塩基配列の内、23 wellはMethanosaeta属、1 wellがMethanosarcina属の16S rRNA遺伝子に相同性を示した。現時点では共生系を構成する水素資化性メタン生成古細菌が分離培養されたwellは確認されていないが、酢酸資化性の嫌気性微生物をハイスループットに分離培養する実験系を構築することに成功した。
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