2009 Fiscal Year Annual Research Report
残留性有機汚染物質の監視と汚染浄化におけるバイオサーファクタントの利用
Project/Area Number |
21510095
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
大川 秀郎 Fukuyama University, 生命工学部, 教授 (90233048)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 雅也 福山大学, 生命工学部, 准教授 (00203802)
|
Keywords | ダイオキシン / PCB同族体 / 組換え体シロイヌナズナ / バイオサーファクタント / モルモットAhR / アッセイ / AhRリガンド / GUSレポーター |
Research Abstract |
残留性有機汚染物質(POPs)には、ダイオキシン、PCBなどの12化合物が含まれる。POPsは環境中で安定で、脂溶性が高く、水系の底質に蓄積し、水中濃度は極めて低いが、食物連鎖を介してヒトなどの最上位の生物種に生物濃縮されて、高濃度に蓄積する。 ダイオキシンは哺乳類の体内においてアリルハイドロカーボン受容体(AhR)に特異的に結合して、CYP1A1遺伝子などを誘導発現する。ダイオキシン同族体のAhRへの結合親和性と毒性の間には相関性が認められる。それを基に、ダイオキシンやPCB同族体のバイオアッセイを目的に、組換え型モルモット(g)AhR/β-グルクロニダーゼ(GUS)レポーター系遺伝子を導入した組換え体シロイヌナズナ系統を作出し、性能を評価した。しかしながら、ダイオキシンやPCB同族体は脂溶性が高いために土壌粒子や有機物に強く吸着し、植物体への取込み量は少ないと思われる。そこで、植物から分離した酵母菌株が生産するバイオサーファクタントであるマンノシルエリスリトールリピッド(MEL-B)について組換え体シロイヌナズナ系統を用いたPCB同族体のアッセイにおける添加効果を検討した。その結果、MEL-B濃度依存的GUS活性が認められた。さらに、PCB126濃度依存的GUS活性の上昇が認められ、GC/MS分析の結果からPCB126の取込み量の増加も合わせて認められた。また、キュウリの植物体の地上部から抽出した脂質画分を用いたPCB126のアッセイにおいて、PCB126誘導GUS活性の上昇が認められた。従って、キュウリにはバイオサーファクタント様物質を含有している可能性が示唆された。以上のことから、バイオサーファクタントはPCB同族体とミセルを形成し、受動拡散により植物体に取り込まれやすくなり、地上部へ移行して、GUS活性を誘導すると考えられる。
|