2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規バイオポリエステルのデザインのための関連酵素の構造―機能研究
Project/Area Number |
21510102
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
久野 玉雄 The Institute of Physical and Chemical Research, 城生体金属科学研究室, 専任研究員 (20312267)
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Keywords | バイオポリエステル / 生分解性 / 酵素 / 立体構造 / 構造と機能 |
Research Abstract |
生分解性を有するバイオポリエステルは、微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解されバイオマスとなり、またバイオマスから微生物あるいは植物によって合成される資源循環型材料であり、持続的社会においては必要不可欠なプラスチックである。ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は生分解性を有する代表的なバイオポリエステルで、モノマーユニットの構造により多様な物性を示すので、幅広い分野での利用が期待され、実用化が望まれている。PHAの生合成の際にどのようなモノマーユニットが取り込まれるかは生合成系酵素の基質特異性に依存するため、天然の酵素では基質特異性のために合成できるPHAの種類は限られてくる。思い通りのモノマーユニットを持つPHAを得るためには、思い通りの基質特異性を持つ生合成系酵素(PHA合成酵素、モノマー供給酵素)を設計することが必要となってくる。モノマー供給系酵素としてフェニル酢酸分解系酵素に着目した。その中で酸素非依存的開環の代謝段階に関与する酵素PaaGの結晶構造を明らかにし、その反応機構を提唱した。PaaGは3量体酵素で、各サブユニットがリング状に会合する。サブユニットの構造はクロトナーゼ・スーパーファミリーに見られるスパイラル構造であった。活性部位と推定される部位には保存された極性残基Asp136が存在していた。基質が結合すると推定される領域は環状化合物が結合することができる十分広い空間を持っていた。結晶の非対称単位中に含まれる6本のポリペプチド鎖の構造を比較したところ、基質結合領域と隣接するkinkしたヘリックスのコンフォメーションに違いがあることが判り、酵素反応過程で構造変化が起こることが示唆された。触媒残基の位置について、機能が異なるクロトナーゼ・スーパーファミリー酵素との比較から、Asp136の開環反応における役割を推定し、触媒反応機構を提唱した。
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Research Products
(3 results)