2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規バイオポリエステルのデザインのための関連酵素の構造-機能研究
Project/Area Number |
21510102
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
久野 玉雄 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 専任研究員 (20312267)
|
Keywords | バイオポリエステル / 生分解性 / 微生物酵素 / 結晶構造解析 / 構造と機能 |
Research Abstract |
生分解性を有するバイオポリエステルは、微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解されバイオマスとなり、またバイオマスから微生物あるいは植物によって合成される資源循環型材料であり、持続的社会においては必要不可欠なプラスチックである。ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は生分解性を有する代表的なバイオポリエステルで、モノマーユニットの構造により多様な物性を示すので、幅広い分野での利用が期待され、実用化が望まれている。PHAの生合成の際にどのようなモノマーユニットが取り込まれるかは生合成系酵素の基質特異性に依存するため、天然の酵素では基質特異性のために合成できるPHAの種類は限られてくる。思い通りのモノマーユニットを持つPHAを得るためには、思い通りの基質特異性を持つ生合成系酵素(PHA合成酵素、モノマー供給酵素)を設計することが必要となってくる。一方、任意にデザインされたPHAを分解するためにはPHA分解酵素の基質特異性に対するデザインも必要である。PHA分解酵素の立体構造を明らかにするため、バクテリア由来酵素の結晶化と構造解析を行い、触媒ドメインの分解能2.3Aにおける構造決定に成功した。結晶化にはポリエチレングリコールを沈殿剤として蒸気拡散法により得た。構造解析には金の誘導体結晶を利用し、Au-SAD法により位相決定した。触媒ドメインの構造モデルは構築できたが、リンカードメインおよびPHA吸着ドメインについてはモデル構築が可能な電子密度を得ることができなかった。触媒ドメインの構造は、シングルドメインであるカビ由来酵素の構造と比較して機能に関すると思われるいくつかの異なる特徴を有していた。
|