2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規バイオポリエステルのデザインのための関連酵素の構造―機能研究
Project/Area Number |
21510102
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
久野 玉雄 独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 専任研究員 (20312267)
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Keywords | バイオポリエステル / 生分解性 / 微生物酵素 / 結晶構造解析 / 構造と機能 |
Research Abstract |
ポリヒドロキシブタン酸は微生物によって作られまた分解される、R体3-ヒドロキシブタン酸をモノマーユニットとする水不溶性の生分解性脂肪族ポリエステルである。ポリヒドロキシブタン酸分解酵素はポリヒドロキシブタン酸をモノマーユニット単量体または二量体にまで加水分解する。多くのボリヒドロキシブタン酸分解酵素は触媒ドメイン、リンカードメイン、ポリマー結合ドメインの3つのドメインから成る。Ralstonia pickettii T1由来酵素(Rp酵素)の結晶化、X線構造解析を行った。触媒ドメインのみの電子密度が得られ、319残基から成る触媒ドメインの結晶構造を分解能1.7Aにおいて明らかにした。触媒ドメインはα/β hydroase foldと呼ばれる構造的特徴を持ち、Ser-166,Asp-241,His-300が触媒部位を構成していた。基質結合に関与する残基、すなわち疎水性ポケット残基や基質のカルボニル酸素と相互作用する残基を推定した。これらは、すでに立体構造を明らかにしているPenicilium funicullosum由来酵素(Pf酵素)と比べると、同一ではないが性質が似た残基によって構成されていた。基質結合領域周辺の分子表面はPf酵素と異なり負の電荷を帯びていた。このことは、マルチドメイン酵素とシングルドメイン酵素では疎水性基質ポリマーとの相互作用様式に違いがあることを示唆している。アミノ酸配列の違いからRp酵素はType I、Pf酵素はType IIに属するが、両者は互いにcircular permutationの関係にあることが判り、進化的に関係があることが示唆された。これらの結果は、ポリヒドロキシブタン酸分解酵素の立体構造に基づく機能改変にとって重要であり、バイオポリエステル・エンジニアリングの発展に大きく寄与する。
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Research Products
(2 results)