2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子マシンをめざしたダブルデッカー錯体の回転の可視化と制御
Project/Area Number |
21510104
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大月 穣 日本大学, 理工学部, 教授 (80233188)
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Keywords | ダブルデッカー錯体 / ポルフィリン / フタロシアニン / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
分子が機能発現の最小単位であることを考えると,分子一つが一つの機能を担う分子マシンは,機械のミニチュア化の究極の姿であろう.マシンが行うさまざまな動きの中でも回転運動は最も基本的な動きの一つなので,分子マシンをつくるには,分子回転子を開発する必要がある.ダブルデッカーポルフィリン/フタロシアニン錯体は,中心金属の種類やマクロ環上の置換基に依存してさまざまな速度で回転運動する.本研究では,表面に固定化されたダブルデッカー錯体の回転を直接「見る」ことによって,一つずつの分子のレベルで,分子回転子としてのダブルデッカー錯体の動きを明らかにすることを目的とした.グラファイト表面にダブルデッカー錯体の溶液を滴下し,自己集合的に形成する単分子膜を走査トンネル顕微鏡(STM)で観察するという実験系を用いた.ダブルデッカー錯体は,一方のマクロ環として長鎖アルキル基をもったポルフィリン/フタロシアニンを用い,他方には,配向がわかるように対称性を下げたマクロ環を用いた.2回対称性の5,15-二置換ポルフィリンとフタロシアニンからなるダブルデッカー錯体について,回転が速いセリウム錯体は一つずつの分子が円形に観察されるが,回転しないジルコニウム錯体は楕円形に観察された.回転運動の決定的な証拠は,回転対称性のないフェロセニルポルフィリンを用いたダブルデッカー錯体によって得られた.フリーベースのポルフィリンと混合して配列した像をSTMにより観察した.同じエリアを繰り返して測定したところ,いくつかの錯体の配向が回転運動によって変化していることが明らかになった。多くのSTM像から,向きが変わらない錯体,向きが変わった錯体を数えることによって,基板上でのダブルデッカー錯体の回転頻度(速度)を明らかにした.
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Research Products
(12 results)