2009 Fiscal Year Annual Research Report
構造柔軟性を持つ多孔性金属錯体の粉末法による結晶構造解析
Project/Area Number |
21510107
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
久保田 佳基 Osaka Prefecture University, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50254371)
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Keywords | ナノ材料 / 多孔性材料 / ガス吸着 / 放射光粉末回折 / 精密構造解析 / マキシマム・エントロピー法 |
Research Abstract |
多孔性金属錯体は、均一なナノスケールの細孔を持つ結晶物質であり、大変優れたガス吸着特性を持つ。この物質の研究においては、ナノ空間を有する骨格構造だけでなく、ナノ空間に取り込まれたゲスト分子の位置や向き、さらにはゲストーホストの相互作用の理解が不可欠である。本研究では、SPring-8の高輝度放射光粉末回折法とMEM/Rietveld法を始めとする構造解析法を駆使して、柔軟な、特に大きな骨格構造の変化を伴う多孔性金属錯体のガス吸着状態における、結合形態までも含めた精密な構造情報を得る方法を確立するとともに、この物質群の吸着機構を解明することを目的とする。 本年度は、いくつかのピラード・レイヤー型の多孔性金属錯体に対して、その結晶構造を調べた。CPL-3およびCPL-4({[Cu_2(pzdc)_2L]・mH_2O}n (pzdc=pyrazine-2,3-dicarboxylate), CPL-3ではL=2,7-diazapyrene, CPL-4ではL=1,2-azopyridine)はピラジンジカルボン酸を大きさ・形の異なるピラー分子で架橋した類似の化合物で、それぞれ8Å×3Å、10Å×6Åの一次元細孔を持つことがわかった。窒素および二酸化炭素のガス吸着等温線から、CPL-4では、ほとんど同じ大きさと形のピラーを持つ類似の化合物CPL-5に比べて吸着量が非常に少ないことがわかった。これは、CPL-4のピラー分子に含まれるazoグループ(N-N)により生じる不対電子同士の相互作用によるものと説明された。具体的なガス吸着構造はまだ明らかにされていないが、今後、吸着ガス分子の構造情報とともに、吸着に伴う骨格構造の変化を明らかにし、ガス分子と細孔との相互作用の理解につなげたい。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Porous Coordination Polymer with Pyridinium Cationic Surface, [Zn_2(tpa)_2(cpb)]2009
Author(s)
M.Higuchi, D.Tanaka, S.Horike, H.Sakamoto, K.Nakamura, Y.Takashima, Y.Hijikata, N.Yanai, J.Kim, K.Kato, Y.Kubota, M.Takata, S.Kitagawa
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Journal Title
J.Am.Chem.Soc. 131
Pages: 10336-10337
Peer Reviewed
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[Presentation] 多孔性配位高分子Cu-CHDに吸着したO_2の磁性と構造の相関2010
Author(s)
堀彰宏, 小林達生, 久保田佳基, 松尾晶, 金道浩一, 金延恩, 加藤健一, 高田昌樹, 坂本裕俊, 松田亮太郎, 北川進
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
岡山大学
Year and Date
2010-03-22
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[Presentation] 多孔性金属錯体Cd(bpndc)(bpy)に吸着した酸素分子の整列構造と磁性II2009
Author(s)
宮村真理子, 南方千晴, 鰐川泰, 久保田佳基, 堀彰宏, 戸田洋平, 鈴木雄太, 小林達生, 松尾晶, 金道浩一, 高田昌樹, 田中大輔, 北川進
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
熊本大学黒髪キャンパス
Year and Date
2009-09-27