2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶、ナノワイヤへの機能性不純物ドーピングと新物性
Project/Area Number |
21510112
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村上 浩一 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10116113)
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Keywords | Siナノワイヤ / CVD作成法 / 酸化に伴う不純物偏析出 / 動径方向濃度分布測定 |
Research Abstract |
最終年度はSiNWsに的を絞って研究を進めた。第一の研究、BドープSiナノワイヤについて酸化とHF処理を用いたSiO_2膜のエッチングを繰り返し行い、Siナノワイヤ中のB動径方向濃度分布を調べた。その結果、Siナノワイヤ中のBは界面付近に安定して存在しやすいことが明らかになった。また、CVD法で作製した径の太いSiナノワイヤでは、表面界面の影響が小さくドープしたBは界面付近で僅かに多く、均一に分布していることがわかった。第二の研究、(I)Siナノワイヤ中のB偏析挙動に関して、ラマン散乱測定により等時熱酸化温度依存性および等温熱酸化時間依存性について調べた。その結果、熱酸化温度800℃、900℃の場合に30分の短時間処理であってもSiナノワイヤ中のB濃度は急激な減少を示すことがわかった。低温の600℃熱酸化では、Bの偏析挙動は起きず、酸化も進行しない。それに代わり600℃以下の低温オゾン酸化は、900℃熱酸化と同等または、それ以上に酸化が進行することがわかった。(II)Siナノワイヤ中のP偏析挙動に関して、低温ESR測定を行い結晶Si中のPドナー伝導電子g=1.998のシグナル強度が熱酸化温度の上昇に伴い減少するが、シグナルの線幅は増大することがわかった。さらに800℃以上の等温熱酸化処理時間依存性の実験から、時間に依存して伝導電シグナルの線幅が増大する。その結果、一部のPドナー原子は熱酸化過程で、B原子とは逆に酸化膜側から結晶Siへと偏析することが確かめられた。(III)BおよびPコドープSiナノワイヤ中のB、Pの偏析挙動に関して、等時熱酸化温度依存性について調べた。900℃以上の熱酸化により、Si結晶コア中の補償されていたPがBの酸化膜側への偏析により再活性化することがわかった。これは、酸化膜にB原子が偏析したことにより結晶コア内部に誘起された欠陥が、アニールにより消滅しPドナー原子が再活性化したことによることを示した。
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Research Products
(2 results)