2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510113
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡田 守弘 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (70373785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根尾 陽一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (50312674)
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Keywords | ナノ機能材料 / マグネタイト / スピン偏極電子 / ナノ材料 / 結晶成長 / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
マグネタイト(Fe3O4)の糸状単結晶体であるマグネタイトウィスカーについて、前年度までに明らかにした作成条件と構造との関係を踏まえて、本ウィスカーをスピン偏極電子源に適用する研究を実施した。また本研究で培ったナノ材料のCVD成長技術を、紡糸可能なカーボンナノチューブ(CNT)の新規合成技術にも展開した。 スピン偏極電子源 鉄系基板表層に大気中での熱CVD法により、<110>に配向した単結晶マグネタイトウィスカーを成長させる。収束イオンビーム(FIB)装置により同ウィスカーを抽出し,タングステン針先端に一本のみを搭載する。これに表面清浄化処理を施した後、本ウィスカーからの電界放出電子のスピン偏極度を測定した。室温での偏極度は約14%で、3時間以上に亘って安定であることを明らかにした。低温下でのスピン偏極度測定により、マグネタイトのVerwey転移(金属-絶縁体転移)を観測した。同時に低温でのスピン偏極度が電界に対して非常に敏感であり,ウィスカー表面においてもVerwey転移が生じていることを実証するとともに,t_<2g>軌道のエネルギー準位ともう一方のアップスピンハ"ンドのエネルギー差が,バルクで予想される値よりも、ウィスカー形状では小さいことが示唆されるデータを得た。 CNT紡糸 アセチレンを炭素源に、塩化鉄触媒を用いた熱CVD法で合成されたCNTは、基板上に稠密に垂直配向成長をする。この試料の端を摘んで引き延ばすと、単独では高々2mm長のCNT同士が連なって膜もしくは紐状に引き出される。従来、この引き出される長さは数十センチメートルであった。マグネタイトウィスカーのCVD成長で得た触媒機能の知見を、このCNT合成に適用して、基板からCNTが供給され続ける限り、無制限の長さにCNT膜および紐を引き出すことを可能とした。
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