Research Abstract |
本研究では,MLDを用いて所望の分子配列のポリマワイヤを成長させる技術を確立し,導波路型太陽電池と光スイッチへの応用可能性を示すことをめざす. 21年度は,3分子配列による多重量子ドットと配向制御,および次年度の計画を前倒しして,色素増感ZnO薄膜における導波光照射の効果を検討した. 【多重量子ドットの形成】 -MLD実行中,常時,基板表面にパージガス(N2)を吹き付けて残留分子をブロックすることにより,所望の分子配列制御が可能となり,量子ドットの長さを0.5nmから5nmまで制御できた.ただし,チャンバ大型化後,MLDプロセスが不安定となり再現性低下の問題が生じている. -科学計算ソフトSCIGRESSを導入し3分子配列制御による量子ドットの光吸収を計算した.実験と同様に,ドットサイズの減少とともに光吸収が短波長シフトし,量子閉じ込め効果を確認できた.EO効果の計算は次年度行う. -Domain-Isolated MLDを考案した.3種類の分子ガスを同時に噴射し,それらの間にN2カーテンを噴射して3つの分子領域をつくり,基板を順次通過させる.従来のMLDに比べてスループットが約3倍となった. 【配向制御】 -水晶振動子膜厚計により,MLDのステップ成長が確認できた.Au表面の場合,成長が数ステップ後から立ち上がる.一方,アルミアルカンチオールSAMつきAu表面の場合は,初期段階から立ち上がる.これは,ポリマがSAMを起点として成長していることを示しており,SAMによる配向成長が行われていると考えられる. 【色素増感ZnO薄膜における導波光照射の効果】 -スリットタイプ電極(gap : 60□m)を形成したZnO蒸着膜に色素(Rose Bengal)を吸着させ,gap部に波長532nmの光をスポット照射と導波照射で照射し,光電流を比較した.導波照射ではスポット照射に比べて5倍程度の光電流が生じ,導波照射の有効性が実証できた.今後,増感法も含めてさらに実験を進める.
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