2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラボディスクのハイスループット単一細胞発現遺伝子プロファイリングへの応用
Project/Area Number |
21510127
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
久保 いづみ Soka University, 工学部, 教授 (40214986)
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Keywords | マイクロセンサー / RT-PCR / ナノリッター / ハイスループット / Jurkat Cell / ディスク |
Research Abstract |
本研究では、これまでに当研究室で開発したハイスループットに細胞懸濁液からの単一細胞分離を行うことができるdisk上で、単一細胞の発現遺伝子を確認する手法を確立することを目的とし、マイクロ流路および集積化したチャンバーを設けたdiskを作製した。発現遺伝子を確認する方法としてはRT-PCRを用いて、mRNAの発現を測定する事を考えた。Disk上に中心から周縁に向かって遠心力で液体が流れるようにジグザグ型の流路を設け、この流路に沿って1流路あたり、313個のチャンバー(容積約1.5nl)を配置したものをシリコン基板に作製した。このdiskを用いてサルモネラ菌、Jurkat cell(ヒト急性白血病T細胞)の細胞懸濁液を単一細胞に分離し、そのままRT-PCRを行うことによって遺伝子の発現確認を試みた。サルモネラ菌について、固有遺伝子のinvAのRT-PCRを試みた。増幅産物の蛍光プローブにSYBR greenを用い、チューブ中でRT-PCRを行ったが、遺伝子の増幅は見られなかった。同じ熱サイクル条件では、ディスク上でも、チューブ中でもPCRはされていたことから、原核生物ではmRNAとDNAの配列が同じであるため、RT-PCRによってmRNAだけの発現を調べる事は難しいことが示唆された。Jurkat cellに関しては、温度(72℃または95℃)や界面活性剤により細胞の壊れる条件を確定した。また逆転写活性をもつ耐熱性PolymeraseのTth Polymeraseを使用することで、チューブ内で細胞から直接Human GAPDH mRNAを逆転写しPCRによって増幅・検出することをワンステップで行うことに成功した。そこでJurkat cellについてdisk上で分離後、RT-PCRによる検出を試みたが、検出のために用いた蛍光発色物質のSYBR GreenではゲノムDNAからも蛍光がでてしまい、単一細胞から発現したmRNAのみを確認することができなかった。しかし、細胞からのワンステップでのmRNAの発現確認方法は確立できているので、発現したmRNAの増幅産物のみをターゲットとできる蛍光プローブを使用することで単一細胞からの発現遺伝子の検出の可能性が示唆された。
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