2009 Fiscal Year Annual Research Report
空間信号処理機能を有した非冷却赤外線アレイセンサの高機能化に関する研究
Project/Area Number |
21510128
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
木股 雅章 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (60388121)
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Keywords | 赤外材料・素子 / マイクロ・ナノデバイス / マイクロマシン / 電子デバイス・機器 |
Research Abstract |
本研究の最も重要な課題である赤外線アレイセンサに適用可能な利得の大きい増幅器の開発に関しては、研究代表者が開発したSOIダイオード方式非冷却赤外線イメージセンサに用いたゲート変調電流積分増幅器を改良した差動電流積分増幅器を検討した。この増幅器は、大きな背景成分が加算されて出力される赤外線センサの信号から背景信号を差し引き、信号成分のみを大きく増幅することができる増幅器である。積分時間で利得を連続可変できるので、積分時間を長くすることで大きな利得を得ることができる。また、MOSトランジスタのゲートに信号を入力する構成であり、フィードバック回路を持たないので、入力インピーダンスは極めて高く、発振の心配もない。 研究開発初年度の今年度は、上記差動電流積分増幅器を、回路シミュレータPspiceを用いて回路設計するとともに、TSMCと赤外線センサ開発で協力関係にある国内企業のプロセスに合わせて増幅器の基本性能を確認するTEG(Test Element Group)マスクを設計し、試作した。試作したTEGを評価した結果、80pFの積分容量で1msの積分を行うことで約200倍の利得が得ることができた。しかし、積分時間を長くすると利得が飽和する現象が確認された。この現象がチャネル長変調に起因していることをシミュレーションで確認することができたので、次年度の試作で改善する。 また、平成20年度まで科学研究費補助金を得て開発を進めてきた赤外線位置センサIRPSD(Infrared Position Sensitive Detector)の新規なアナログ信号処理回路についても、TEGを設計、試作し、期待した機能が得られることを確認した。
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