2010 Fiscal Year Annual Research Report
集積化化学システムのための多機能型弾性表面波アクチュエーターの提案
Project/Area Number |
21510131
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Research Institution | Hyogo Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
才木 常正 兵庫県立工業技術センター, 環境・バイオ部, 主任研究員 (80470227)
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Keywords | 弾性表面波 / ニオブ酸リチウム / 液体 / アクチュエータ / 分析システム |
Research Abstract |
弾性表面波(SAW)デバイスは構造が簡単なため、複数の小型デバイスを集積化する微小化学分析システム(μTAS)の有望な要素部品として期待が持てる。そこで、我々は新規の流体アクチュエーターを提案し、液滴駆動しかできなかったSAWアクチュエーターを連続流体の駆動への適応を可能とした。しかし、現状においては、SAW流体アクチュエーターの最適設計化までは至っていない。 そこで、平成21年度は、SAWと流体との物理的な相互作用に焦点を当てて、SAWを発生させる櫛歯電極(IDT)の形状等をパラメーターにした流体駆動の実験データの収集し、そのデータを基に弾性力学と流体力学等を駆使して数値解析に用いるSAWの液体駆動モデルについて検討した。その結果、実験においては、IDTの対数は駆動開始電力とは関係なく、IDTピッチのみにそれが関係することがわかった。ちなみに、水においては200μmのIDTピッチにおいて、最も効率良く流体を移動できることがわかった。これら実験データから、弾性表面波による流体駆動の様子を計算する方法として、界面の大変形や衝突時に発生する飛沫をも網羅できることから有限要素法ではなく粒子法を用いることに決定し、簡単なシュミレーションを行い、良好な結果を得る可能性があることがわかった。 今年(平成22年)度は、この粒子法によるシュミレーションの精度を上げるために、レーザードップラー振動計によりSAWの振幅を測定し、それとIDTへの供給電力と関係およびSAWの伝播の様子を調べた。その結果、供給電力を増加させるとSAWの振幅もほぼ線形的に増加することがわかった。また、SAWの伝播の様子から、圧電基板の結晶方位により発生するSAWの物理的特性が異なることもわかった。 最終年(平成23年)度は、SAWによる流体駆動実験を行い、SAWと流体との練成のシュミレーションを完成させる予定である。
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