2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510132
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
大庭 亨 宇都宮大学, 工学研究科, 准教授 (30291793)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ構造形成 / ペプチドナノロッド / 磁性 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、ナノサイズの高集積回路を、生体分子の特徴(動的平衡など)を応用して実現することである。そこで、(a)磁性ナノ粒子を用いて素子の配向を制御すること、(b)新たな分子素子の開発を本研究の目的とし、10年度は、(1)ポリプロリン・ナノロッドと蛍光色素との分子間相互作用(分子素子の開発)、(2)リポソームを用いたポリプロリン・ナノロッド分子素子の集積、(3)蛍光色素の開発などに適用する新規な有機合成反応を検討した。(1)ポリプロリン・ナノロッドとクロロフィル類とから分子素子を作成した。我々が合成したポリプロリンは、メタノール中でポリプロリンIIヘリックスを形成した。このポリプロリンとクロロフィル類とが、メタノール中で分子間会合して複合体を形成することを、ポリプロリン中に組み込んだトリプトファン残基からクロロフィルへの蛍光励起エネルギー移動から確かめた。この色素-ポリプロリン・ナノロッド複合体は、光エネルギー伝達特性をもつ分子素子として機能すると期待される。 (2)ポリプロリン・ナノロッドとクロロフィル類はリポソーム膜中でも分子間会合して、上と同様の複合体(分子素子)を形成することを確かめた。リポソーム膜では、脂質の組み合わせや温度によって相分離を起こすことができるので、リポソーム膜にポリプロリン分子素子を組み込み、それらの可逆的な集積や配列に膜の相挙動を利用することを目指している。 (3)クロロフィル類などに対してチオール類を反応させることによって、1段階で、簡便かつ温和に、クロロフィル類がもつビニル基をフォルミル基に変換できることを見出した。この新規反応は環境低負荷であると同時に、生体内の反応のモデルとも考えられ、分子素子開発への応用展開と共に、反応機構の検討を続けている。
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Research Products
(17 results)