2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510132
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
大庭 亨 宇都宮大学, 工学研究科, 准教授 (30291793)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ構造形成 / ペプチドナノロッド / 磁性 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、生体分子の特徴(動的平衡など)を応用して、ナノサイズの高集積回路を実現することである。今年度は主にペプチドと蛍光色素との複合化、およびナノ素子が配列・集積・機能する場としてのリポソーム膜の検討を行った。 新規なカチオン性ペプチド脂質を合成し、アニオン性色素とともにジャイアントリポソーム膜内に導入した。蛍光励起エネルギー移動から、この脂質と色素はリポソーム膜内で会合しており、その相互作用は他のペプチドとの相互作用よりも強いことがわかった。相転移・相分離は明確には観察できなかったが、興味深いことに、この脂質-色素会合体を含むジャイアントリポソームが光照射によって容易に分離(buddingおよびfission)を起こすことを見出したことは特筆できる(光誘起リポソーム分離技術)。さらに、ミセル等を利用してジャイアントリポソームに色素やペプチドを供給することもできた。以上により、リポソームの融合・分離という動的平衡の中に、機能素子(蛍光色素、ペプヂド)を配置するための基礎技術を確立できた。 また、申請者が本研究の過程で見出した新規な酸化反応を、機能素子(蛍光色素)の合成に応用することができた。また、この反応が、あるシアノバクテリアの色素生合成反応のモデルと考えられることも提案できた。 以上のように、本研究によって、ナノサイズの高集積回路を動的平衡の下に実現するための基礎技術を得ることができた』すなわち、リポソームに磁性ナノ粒子を封入させれば、膜内に機能分子を集積したリポソームを磁場配向させることができると期待される。また、光誘起リポソーム膜分離や膜融合によって、膜内の機能分子等を交換することもできるだろう。さらに、これらの成果は光合成蛋白質の成熟・分解過程のモデル化や、人工細胞の構築にも寄与できるだろう。
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Research Products
(16 results)