2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポラリトン伝播分子ファイバーによる極微小光デバイス
Project/Area Number |
21510136
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
高澤 健 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, 主幹研究員 (10354317)
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Keywords | 光物性 / 分子ファイバー / 励起子ポラリトン / ブラッグミラー / 有機色素 |
Research Abstract |
これまでの研究で、有機色素分子(チアシアニン)を水溶液中で自己組織化させることで、光励起で生成した励起子ポラリトンを数百μmに亘って室温で伝播させる分子ファイバーを合成することに成功した。今年度は昨年度に引き続き、ガラス基板上に分散したファイバーをマイクロマニピュレータにより操作して、極微小光デバイスの作製を行った。ファイバーの両端を接触させ、直径約6μmのリング構造を作製し、リングにもう1本のファイバーを接触させて配置することで、極微小のリングレゾネータ・チャンネルドロップフィルターを作製した。顕微分光測定により性能を評価したところ、素子サイズが10μm×10μm程度と非常に小型であるにもかかわらず、5-6dBの消光率が得られた。さらに今年度は、伝播するポラリトンを反射するブラッグミラーを電子線描画によりファイバー中に製作することを試みた。ポラリトン伝播に対するファイバーの実効的な屈折率は、励起子-光相互作用のため非常に大きな値になっている(5-10)。従って、ファイバーに電子線を照射して分子の光学活性を低下させれば(electron beam bleaching)、励起子-光相互作用が弱まり屈折率が低下する。この原理に基づき、走査電子線を用いてファイバーの屈折率を半波長周期で変調すれば、ポラリトンを反射させるブラッグミラーとして機能すると考えられる。電子線の走査条件を最適化し、1周期200-150nm、周期数40のブラッグミラーをファイバーに描き込んだところ、約70%の反射率でポラリトンを反射させることに成功した。以上の研究により、ポラリトン伝播分子ファイバーが極微小光回路の構成要素として非常に有望であることを示すことができた。
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